映画「悪魔の手毬唄」市川崑 ★★★

katsu7032006-04-29

このとき岸恵子は45歳で美しい盛り。
本当に横溝映画は佐久間良子といい、熟女の美しさを生かすのがうまい。
1977年公開で興行成績は7億5500万で邦画で10位。
だたし、岸恵子の事務所のプロフィールの代表作に本作はリストアップされていない。
ちなみに、代表作としている「細雪」は興行成績ベスト10には入っていない。
これが本人の意向かどうかはわからない。
確かに興行成績だけで映画の価値が決まるわけではないが、代表作としてリストアップするかどうかの大きな基準ではないか?
まあ、タレントとしてのイメージもあるし、しょうがないとは思うが。
このあたりの文芸性を重く見てエンターテインメント性を低く見る意識はこのあたりの世代の日本の俳優の特質と思う。
このことが80年代、90年代の日本映画の凋落に与えた影響は大きいのではないだろうか。
21世紀に入り、「文芸」という言葉が死語になって、やっと日本映画は文芸の呪縛から解き放たれた。

以下ネタバレ
最後に岸恵子入水するシーンで岸恵子(スタントか)の前方にアブクがプカリと浮くのがなんともいえない。潜水夫が我慢できなかったのか。パピヨンを思い出してしまった。
いつもながら印象的なロングショットで物語の位置づけを俯瞰させるのがうまいなあ。

6/2追記
録ってそのままにしていたNHK教育でのインタビュー番組を観る。
良くも悪くも、鼻持ちのならなさ全開。
当時は離婚直後だったとのこと。たしかに少しやつれ気味か。しかし、それもいい色香につながっている。さておき、ご本人の弁によると、ご本人は悪魔の手毬唄が好きなのだそうだ。(だったら代表作に入れろよ)理由は人情物に仕上がっているからとのこと。まあ、「おとうと」を撮ってくれた市川崑作品であることもあるだろうが、確かに熱演ではある。しかし、人情物に仕上げた功労者はなんといっても若山富三郎だ。