「妻として女として」成瀬巳喜男 ★★★☆

しかし、子供を巻き込むのはどうかな。
家族団欒の場での「何のために生きるか」論議はまさにこの時代ならでは。
戦後十五年を経て、日本人の価値観が変わりつつあるのを捉える。
成瀬作品にはめずらしく、終わり方に救いがある。
じんじろげの唄が耳に残る。

映画「ザスーラ」ジョン・ファヴロー ★★★★

ホームシアター用の新しいアンプで楽しんだ。
ジュマンジ」もそこそこ楽しめたし、ほぼ期待通りの出来。
姉のリサ役の女優が個性があっていい。
かわいいタイプではないが、個性と色気のバランスがいい。
ゲームのレトロな味が抜群。
最後はお約束だが、姉とのエピソードがピリッと効いている。

映画「悪魔の手毬唄」市川崑 ★★★

katsu7032006-04-29

このとき岸恵子は45歳で美しい盛り。
本当に横溝映画は佐久間良子といい、熟女の美しさを生かすのがうまい。
1977年公開で興行成績は7億5500万で邦画で10位。
だたし、岸恵子の事務所のプロフィールの代表作に本作はリストアップされていない。
ちなみに、代表作としている「細雪」は興行成績ベスト10には入っていない。
これが本人の意向かどうかはわからない。
確かに興行成績だけで映画の価値が決まるわけではないが、代表作としてリストアップするかどうかの大きな基準ではないか?
まあ、タレントとしてのイメージもあるし、しょうがないとは思うが。
このあたりの文芸性を重く見てエンターテインメント性を低く見る意識はこのあたりの世代の日本の俳優の特質と思う。
このことが80年代、90年代の日本映画の凋落に与えた影響は大きいのではないだろうか。
21世紀に入り、「文芸」という言葉が死語になって、やっと日本映画は文芸の呪縛から解き放たれた。

以下ネタバレ
最後に岸恵子入水するシーンで岸恵子(スタントか)の前方にアブクがプカリと浮くのがなんともいえない。潜水夫が我慢できなかったのか。パピヨンを思い出してしまった。
いつもながら印象的なロングショットで物語の位置づけを俯瞰させるのがうまいなあ。

6/2追記
録ってそのままにしていたNHK教育でのインタビュー番組を観る。
良くも悪くも、鼻持ちのならなさ全開。
当時は離婚直後だったとのこと。たしかに少しやつれ気味か。しかし、それもいい色香につながっている。さておき、ご本人の弁によると、ご本人は悪魔の手毬唄が好きなのだそうだ。(だったら代表作に入れろよ)理由は人情物に仕上がっているからとのこと。まあ、「おとうと」を撮ってくれた市川崑作品であることもあるだろうが、確かに熱演ではある。しかし、人情物に仕上げた功労者はなんといっても若山富三郎だ。

映画「蝋人形の館」ジャウム・コレット=セラ ★★★

katsu7032006-04-24

友人たちが殺されるシーンでこの手の映画にありがちな気を持たせることがないのが好み。ラストは原題「蝋の館」(蝋人形の館ではない)の通り。しかし、指を切られそうになったら引っ込めろよ。主役はけっこう美人だが、、、と思って調べてみたらなんと「24」のキム。いま一つ”美人”と言い切れない感じはそういうわけか。しかし、演技はうまい。気づきそうで気づかない疑問。目玉は入れ替えないのか?

映画「新幹線大爆破」佐藤純弥★★★☆

何というか、(今からみたら)つくりの雑さ、セリフの臭さと、ストーリー展開の斬新さが混ざり合って妙なブレンド具合。スピードの原作者はこの作品を知っているのだろうか。
今の存在価値はノスタルジー源にしかないような映画だが、当時の観客はどうみたのだろうか、反応が知りたい。
新幹線の中のパニックシーンが面白いというか演出の意図が不明、汽車の歌をワンコーラス歌わせたり、得体の知れぬ宗教団体の太鼓のシーンを出したり。
新幹線の宣伝映画と見れば面白い。
製作年度は博多開通と同じ1975年。
ラストシーンはやはり、白黒でもわかる血まみれシーンが欲しかった。

映画「病院坂の首縊りの家」市川昆★★

横溝正史の大根ぶりが楽しい。
草刈正雄は明らかにミスキャスト。
桜田淳子が意外に禍々しさを出していていい。後年、本当に禍々しい方面に行ってしまったが。。。
佐久間良子は美しい。調べてみたら出演時は美しい盛りの40歳。
石坂浩二は勘所を押さえまくりで肩の力が抜け切った演技。さすがに飽きたのだろう。